
どうも、エニグマです。
突然ですが、「今の野球界で過小評価されていると感じている選手は?」と尋ねられたら皆さんは誰の名前を挙げるでしょうか。どの球団にも必ず1人いるはずですし、投票などをした場合かなり票が割れると思います。
そんな中現在レンジャーズに所属するコーリー・シーガーの名前を出すファンは恐らく皆無でしょうし、今回のブログタイトルを見た時ほとんどの方が「Why???」と感じたはずです。皆さんが言いたい事は聞かずとも分かります。あくまで「スター選手の中では過小評価されたプレーヤー」と言うだけであり、野球界で過小評価された存在ではないことから的外れな主張になるかもしれません。ですが、今回のブログを読んで少しでも認識を改める野球ファンが1人でもいればいいと思っています。
過小評価されているポイント
①遊撃手としては圧倒的な打撃力
次の画像は現役で1000打席以上消化した遊撃手の打撃成績となります(何故か現在ショートをしていないタティスやセミエン、クルーズなどが混入してしまっていますが…)
*画像はFangraphsより引用
現役SS内での主な打撃成績ランク
打率.288(5位)
本塁打224(2位)
打点733(6位)
出塁率.361(2位)
長打率.509(1位)
wRC+ 136(1位)
シーガーの打撃力が現役のショートとしてはトップクラスなのは周知の事実でこれに関しては疑いようがないでしょう。特に長打を打つ能力は突出しており、比較的打力が劣る選手が多い遊撃手ながら後述する別ポジションのスター選手と遜色のないクオリティにあります。またその圧倒的な打撃は歴代でも見ても屈指の数値となっているのです。

*画像はFangraphsから引用。
様々な便宜上、FanGraphsでポジションがショートと定義されていて尚且つ1901年から2026年までで1000打席以上消化と言う条件でソートしたのが上の画像となります(そのため18位に知らない人の名前が入ってしまっています…)この条件でもwRC+で歴代8位の数字をマークしており、やはり遊撃手の中では卓越した打力であることが証明されています。特に2023年に記録したOPS1.013という数字はショートの選手としては歴史的なレベルの数字であり、近年規定打席を満たした遊撃手でこれ以上の数字を残したのはアレックス・ロドリゲスやノマー・ガルシアパーラという歴代屈指の選手だけである事を鑑みると打撃に関しては正しい評価を受けていないように感じます。
更に言及したいのは、ここ2シーズンにおいてMLB屈指の打者地獄と化したグローブライフ・フィールドを本拠地にしながらリーグ屈指の数字を残している点です。

*画像はStatcast Park Factors | baseballsavant.com より引用。
世界一を達成した2023年からの2シーズン、突然リーグ屈指の投手有利=打者不利の球場と移り変わったグローブライフ・フィールド。レンジャーズに所属するほぼ全ての選手が2023年比で大きく数字を落としてしまっていて、シーガーもキャリアハイの2023年から数字こそ悪化していますが、依然として高い水準の数字を維持しています。下画像は2024年と2025年の2シーズンでショートを守った選手の打撃成績となります。

*画像はMajor League Leaderboards - 2024 to 2025 - Batting | FanGraphs Baseball より引用。
こう見ると、シーガーはここ2シーズン(何なら今年も…)打者にとって非常にタフな環境でありながらウィットJr.を除くショートの中で最高の打者であることが分かるはずです。最大年間81試合プレーしなくてはならないホームゲームで毎試合大きなハンデを背負いながら、この数字を残している凄さが世間に浸透されていないと感じています。
②他ポジションとの打撃比較

*画像はFangraphsより引用。
上画像はシーガーがテキサスに移籍した2022年からの4シーズン、2000打席以上立った選手(年間500打席×4シーズンと定義)の成績となります。ちなみに1500打席以上とした場合wRC+ではアルバレス(HOU)、トラウト(LAA)、アクーニャJr.(ATL)に次ぐ9位にランクダウンとなります。
ここから視覚的に訴えるため、グラフを用いてMLBにおけるシーガーの打力を表現していこうと思います。対象とする選手としてフリーマン(LAD)、ラミレス(CLE)、ベッツ(LAD)、タッカー(LAD)、そしてシーガーの5選手を見ていきます。
OPS

HR数

xwOBA(運や守備の影響を排除し、打球の質を計算に組み込んだ指標)

*上画像3枚はhttps://baseballsavant.mlb.com/より算出
現代MLBの打撃に関してはジャッジが見た目のように頭2つほど抜けており、少し離れて大谷、その少し下にソトの3選手が打者ビッグ3と私は評価しています(健康ならヨルダン・アルバレスを加えた四皇と言ってもいいです)。その次のティアに多くのスター選手がひしめきあっており、その中でもシーガーの打撃が如何に素晴らしいかが上のグラフからも分かるはずです。シーガーは「ショートとして突出した打撃力」ではなく「球界屈指の打撃力」を誇る選手であるという事実がより多くの人々に広まって欲しいと願っています。
また、この数字を負担が大きいショートのポジションで記録している事も見逃せないポイントとなります。投手と捕手は例外として、試合の中で動きが少ないファーストや外野の両翼といったポジションよりも多くの活動量が要求される遊撃手の負担は時に軽んじられています。ショートを守って打てる選手は他のポジションの選手よりも優れているというのは短絡的な意見ですが、同レベルの数字だった場合はショートの選手が高く評価されるのは野球のポジション構造を考えると仕方ないんですよね。文句がある野球選手は全員ショートを目指すべきですし、オールSSでチームを構成する野球版『ブルーロック』のようなカオスが極まる状況でも作れば良いのではないでしょうか()
あと今回例で挙げた5選手、ラミレスを除き4人がLAD関係者ですねそう言えば。
③洗練された遊撃守備
打撃に関してはメジャーデビューを果たした古巣ドジャーズ時代から称賛を集めていた一方で、守備に関しては疑問の声がありました。守備でプラスを生み出すシーズンもあったのですが、LAD時代においては決して守備の名手と呼べるプレーヤーではなかったと思います。ですが、TEXに移籍した2022年シーズン以降の4年間でその評価は完全に覆っています。
DRS

UZR

*画像はMajor League Leaderboards - 2022 to 2025 - Fielding | FanGraphs Baseballより引用。
OAA

テキサス移籍後の2022年以降の4シーズンの守備成績をソートするとDRS、UZR、OAAのいずれの指標でもプラスを叩き出しており、リーグ屈指の守備力を持つ遊撃手と変貌を遂げています。特に昨年はキャリア最高の守備成績を記録し、ALのGG賞のファイナリストにもノミネートされていました。ショートに要求される肩の強さはSSとしてはリーグ最低ランクでありながらこれだけのアウトを生産出来ているのは見事と言わざるを得ません。試合映像だけを見ると守備が下手そうなフットワークをしているのですが…
シーガー個人の守備向上に関する現地記事が見つからなかったため、詳細な考察は困難なのですが以下の3点が影響していると思います。
①シンプルな技術向上
最もシンプルで、最もカンサイスで、そして最もボーリングな考察を最初に述べていきます。シーガーは元々グラグハンドリングと送球の正確さに関してはまずまずの評価を受けていました。キャリアを重ねる事で必要最低限のフットワークで打球に入る方法を身に付け、肩の弱さを補うアームキャリーを習得したことが守備の向上につながったと考察しています。
②4年間二遊間を組んだセミエンの存在
昨年オフにニモとのトレードでメッツへ移籍となってしまいましたが、ここ数年のシーガーの守備指標向上にはセミエンの貢献が間違いなく大きいです。勿論守備のアドバイスなども受けていたと思いますが、セミエンが与えた恩恵はそれだけに留まりません。
リーグ屈指の守備を誇るセミエンが二遊間の打球の何割かをケアすることで、シーガーが苦手としている二遊間方向の打球をカバーする守備設計を敷いていました。それにより古典的なショートの守備位置付近、特に三遊間の打球への処理にフォーカスすることが出来るようになったことは非常に大きかったのではないでしょうか。今年からはセミエンではなく、スミスやデュランと二遊間を形成することになりましたが、どこまで守備指標を維持出来るか注目されます。
③テキサスの守備指導力とポジショニング設計
他の29球団について詳細な情報を持っていないため、あくまで肌感覚となりますがMLB全体で見てもレンジャーズは守備の指導が上手いチームであると感じています。昨年は最優秀フィールディングチームに輝くなど、ここ数年は毎年リーグ上位の守備指標を記録している堅守のチームを構築しました。
また、チーム全体で守備のポジショニングの統計活用、設計が上手く機能している点も注視しなくてはいけません。各打者の打球方向や打球傾向に関しては全球団等しく同じデータを参照しているのでしょうが、恐らくテキサスはこの統計を他球団以上に有効に活用し守備位置の設計を行っているのでしょう。この点に関しては、いつか別ブログで書きたいのですが如何せん参考に出来る現地記事が少ないのが残念でなりません。
打撃はリーグ最高クラス、守備もGGレベルにまでブラッシュアップしたにも関わらず何故シーガーが適切な評価をされていない、何なら過大評価とまで言われることがあるのでしょうか?やや抽象的な表現や言葉が並んでしまいますが、その理由を紐解いていきます。
なぜ適切な評価を集められていないのか?
①怪我に塗れたキャリア

*画像はhttps://www.mlb.com/player/corey-seager-608369より引用。
シーガーのキャリアは新人王、WS制覇2回、WSMVP2回など輝かしいトロフィーを掲げる一方で、「怪我」の歴史が綴られています。新人王を受賞した2016年、TEX移籍初年度の2022年を除いて150試合以上の出場経験がなく、シーズンのおよそ8割にあたる130試合ですら25年までの11年の選手生活で4度しか達成していません。これが一般的な野球ファンがシーガーを適切に評価することを難しくさせており、何なら過大評価とみなす最大の要因となっています。というより、これが全てです。
②現代の遊撃手のステレオタイプから逸脱したプレースタイル
シーガーが打撃と守備に長けた選手という事はここまで紹介して来ましたが、走塁特にスプリントスピードに関してはショートはおろかMLB平均以下の選手となっています。現代の遊撃手のほとんどが走力と言う点でも強みを持っており、スピードでもグラウンドで注目を集める「アクロバティック」的な存在であります。そんな中シーガーのような打撃と守備で魅せる「野球職人」的なプレースタイルは、現代野球の遊撃手像から少し外れたスタイルであり、ドーパミン中毒と化している一部の野球ファンには刺さらないのかもしれません。
③「プレーオフの英雄」という称号が足枷に?
シーガーはキャリアとして得点圏打率が高く、WSMVP2回を含めたプレーオフでの活躍から球界で最もclutchな選手の一人と評価されています。しかし皮肉なことに、POにおける光輝く驚異的な活躍がレギュラーシーズンでの活躍や数字に影を落とし印象を薄めてしまっている印象があります。日々の地道な仕事の積み重ねよりも、1年に一度の大仕事での成功が過剰にピックアップされているような状態となっているのではないでしょうか。
COREY SEAGER TIES THE GAME IN THE 9TH WITH ONE SWING OF THE BAT!!!
— FOX Sports: MLB (@MLBONFOX) 2023年10月28日
📺: FOX pic.twitter.com/RcUnRf801c
今年はキャリアハイの再来!?
今季ここまで13試合を消化し打率.234 本塁打4 OPS.810と決して目を引く数字ではありませんが、キャリア通算で3月4月を苦手としているシーガーとしてはまずまずのスタートとなっています。鬼門の4月である程度打撃成績を稼げれば、得意の6月以降の爆発で本塁打や打点といった加算スタッツを大きく伸ばすことが可能となります。恐らくテキサス・レンジャーズが日本で最も注目される瞬間(笑)である古巣LAD戦でも本塁打を放ちましたし、ここから更に状態を上げていって欲しいです。後はとにかく健康を維持することですね。それが可能ならば自身初の打撃タイトル(首位打者など)も十分狙えるのではないでしょうか。
Corey Seager launches a 3-run homer at Dodger Stadium! pic.twitter.com/MncTcjcXtG
— MLB (@MLB) 2026年4月11日
総括
まとめるとー。
走者を抱えながら抑えるクローザーは「劇場型クローザー」と評されることがありますが、セーブ成功率が低い抑えが「劇場型」と称されるのは錯誤ではないでしょうか。それはクローザーではなく「たまたま試合の最後に投げているだけの投手」だと思います。
以上です。


















