どうも、エニグマです。
2016年以来久し振りの買い手側となった2023年のTDL。アロルディス・チャップマン獲得から始まり衝撃のマックス・シャーザー獲得など一昨年&昨年のオフシーズンの大型補強を彷彿させるような市場での大立ち回りを見せてくれました。
当記事では今季のテキサス・レンジャーズのTDLの動き、獲得選手を紹介しそれに対する個人的感想、評価を書き連ねていこうと思います。
①アロルディス・チャップマン(ロイヤルズから移籍)
We've acquired LHP Aroldis Chapman from the Kansas City Royals in exchange for LHP Cole Ragans and minor league OF Roni Cabrera. pic.twitter.com/OdjuUtVFvy
— Texas Rangers (@Rangers) 2023年6月30日
トレードデッドライン終了まで1ヶ月以上前の6月、チームは開幕当初から懸念されていたブルペンの駒不足に喘ぎ接戦のゲームをことごとく落としてしまいました。早めの補強が必要と感じたフロントが呼んだのがご存知人類最速の左腕である彼でした。
FAイヤーとなった昨年のヤンキースでは苦心のシーズンを過ごしオフに退団。捲土重来を期して臨んだであろう今季は再び全盛期を想起させるような豪速球を披露しトレード時点で防御率2.45、奪三振率16.3とハイパフォーマンスを見せトレード市場の目玉の一人となっていました。レンジャーズ加入後も先日のアストロズ戦での3ラン被弾までは7試合連続無失点と好調をキープしていて残り数ヶ月、プレーオフにおいて重要な存在になるのは間違い無いでしょう。下動画のシンカーエッグイ・・・
Aroldis Chapman, 103.4 mph Two Seamer. 😳 pic.twitter.com/JSg2oeHrxU
— Rob Friedman (@PitchingNinja) 2023年7月23日
交換相手となったラガンスは2016年ドラフト全体30位の左腕。チャップマン程のレベルでは無いがスピードボールが武器で良いチェンジアップも持っていたのですが左腕でありながら対左打者に有効なボールがなく苦労していた印象があります。移籍後は1試合のみの登板(先発)でありますがその試合ではMLBで4〜5番手のスターターになれる可能性を感じさせるようなボールを見せていました。ロニ・カブレラは17歳の外野手…という情報しかないので特に語ることはないです。スミマセン。
保有権がまだ長く残っているラガンスに対してチャップマンは今季FAのレンタルリリーバーとなります。しかしチャップマンは課題であったブルペンの救世主となっていて現在コンテンダーであるテキサスとしてはまさに海老で鯛を釣ったような改心のスティールと言えるのではないでしょうか。
②マックス・シャーザー(メッツから移籍)
We’ve acquired RHP Max Scherzer and cash considerations from the New York Mets in exchange for minor league INF/OF Luisangel Acuña. pic.twitter.com/Mg2qrwIQ4C
— Texas Rangers (@Rangers) 2023年7月30日
このトレードは正直言って全く予想していなかったです。
メッツは今季のチーム不振を受け積極的に売り手側に回るという事は理解していたのですが高年俸&来季およそ43Mのプレーヤーオプションが足枷となりトレードの現実味は低いと感じていました。しかしスティーブ・コーエン氏は違いました。残り1年半の契約中35Mをメッツ負担にすることにより今回のトレードを実現させたのです。このサラリー負担と来季のプレーヤーオプション行使によりレンジャーズは今年数ヶ月と来季シャーザーを保有することが可能となりその負担額は総額22.5Mに。来季で言うと17M程度であのシャーザーをローテに加える事が出来ると考えると当然悪い話ではありません。
しかしシャーザー獲得の代償は決して少なくありませんでした。見返りとしてレンジャーズはチーム傘下3位、MLB全体44位(ブログ作成当時)のルイスアンヘル・アクーニャを失うこととなったのです。
プロスペクトに疎い、興味が薄い方であってもその苗字からもしかして?と思われた人が多いと想像しますがその通りです。彼はあのブレーブスの中心選手で今季リーグMVP最有力候補のロナルド・アクーニャ・ジェニアの弟であります。AAでは二遊間、中堅とセンターラインのポジションを守りながら優秀な打撃成績を残しており現在MLB盗塁王を爆走中の兄ロナルド同様卓越したスピード、盗塁能力を持っています。将来メッツにてフランシスコ・リンドーアとの二遊間結成が見られる可能性は高いでしょう。
このトレードに関しては現地でも評価が割れているようでどちらが勝者で敗者かどうかを論ずるのが難しいです。確かにアクーニャは素晴らしい素質を持った選手ですがMLBレベルで活躍出来るかどうかは決して約束されてはいません。同じようにシャーザーが今季来季MLBのローテレベルの水準を下回る投手へとダウングレードしてしまう可能性も大いに考えられます。Win-Win、Win-lose、lose-loseいずれにもなりうる不透明さを秘めたトレードということもありこのシャーザー獲得についてはもう少し深掘りした考察をしたいと思い、後日改めてシャーザーについてのブログ更新をする予定です。そちらのブログも見ていただけると嬉しいです。
③ジョーダン・モンゴメリー&クリス・ストラットン(カーディナルスから移籍)
We’ve acquired LHP Jordan Montgomery, RHP Chris Stratton & International Bonus Pool Money from the St. Louis Cardinals in exchange for INF Thomas Saggese, RHP Tekoah Roby and LHP John King. pic.twitter.com/4woVxP2Ico
— Texas Rangers (@Rangers) 2023年7月30日
モンゴメリーとストラットンのW獲得については前回のブログ
2023年夏、レンジャーズのTDLを考察する - シーガーない野球ブログ
の中にて予想してした通りのパッケージとなりました。
シャーザー獲得には成功したもののイオバルディの15日間の故障者リスト入り、ヒーニーやペレスの不振で先発ローテーションには未だ大きな不安がありました。そこに今季カーディナルスで好成績を収めているモンゴメリーの獲得はチームにとって大きなプラスになります。また前年まで同じチームに在籍していたマイク・マダックス投手コーチと再び一緒のチームでプレー、コーチングを受けることとなりチームへの溶け込みやフィットという面でも問題なく進んでいくことが期待されます。ストラットンは素晴らしいスピンレートの数値を記録していて勝ちパターンでの起用が望める投手です。
短めですが交換相手にも触れていきます。キングは既にリリーフにてMLBで87試合もの登板経験があり来年以降再び勝負を仕掛けたいセントルイスから見て複数年保有可能なリリーバーを貰っておきたかったと推測します。表面上の数字は目を見張るものではありませんがゴロ率が高く被本塁打を抑えやすい投手なので移籍を転機として優秀なリリーフになる可能性も十分考えられます。
とここまで書きましたがカーディナルス側のこのトレードの目玉は次の2人のプロスペクトにあります。ロビーはチーム傘下13位のプロスペクト。肩の故障こそ抱えていていますがポテンシャルが高い投手で育成力に定評のあるカーディナルスでどれだけ成長出来るか楽しみな投手です。サジェッシーはチーム傘下15位の有望株で打撃アプローチの評価が高くセントルイス好みの野手という印象があります。
チャップマン同様モンゴメリーとストラットンも今季FAの選手となります。同地区のエンジェルスがルーカス・ジオリトに払った代償を鑑みるとモンゴメリーはかなり安価なパッケージでそこにストラットンをプラスで獲得出来たのは非常に実りある取引だったように思えます。
④オースティン・ヘッジス(パイレーツから移籍)
We've acquired C Austin Hedges from the Pittsburgh Pirates in exchange for International Bonus Pool Money. pic.twitter.com/4ayoKagPbV
— Texas Rangers (@Rangers) 2023年8月1日
TDL終了のおよそ30分前に駆け込みで決定しました。この少し前に「レンジャーズは捕手を探している」という報道が流れていてその時点ではグランダル(ホワイトソックス)、ナルバエズ(メッツ)辺りを私は候補として予想していたのですが…
ヘッジス獲得の目的はたった一つ。それは、チームの正捕手であるジョナ・ハイムの手首負傷による故障者リスト入りに対する措置となります。今季は打率.180 、OPS.467、wRC+は28と打撃面では例年通り?の苦闘をするものの守備ではリーグ屈指のフレーミング技術を発揮し投手を盛り立てています。現在レンジャーズはミッチ・ガーバーを正捕手として起用していますが打撃のガーバー、守備のヘッジスという併用が今後数週間は見られそうです。早くハイム戻って来て…
見返りはインターナショナルのボーナスプール、金銭となりました。
・TDL総評
2020年冬にGMに就任し2021年から2年連続オフのFA市場で札束を両手に暴れまわっていたクリス・ヤングGMでしたが交渉力、市場の見極めが問われる買い手側のトレードに関しては手腕が疑問視されていました。そんな不安がありましたが今夏成立させたトレードに関してはいずれも高評価を受けても良いのではないかと思います。多くの選手の放出こそありましたがいずれも本当に重要な選手は守った上でのディールであり、シャーザー⇄アクーニャ弟の取引でさえシーガーとセミエンが向こう数年二遊間を埋めているであろうチーム事情を考慮すれば決して悪手ではないと評価しています。贔屓目抜きにしても今TDL最大の勝者と言っても過言ではない充実の補強が出来ました。
新戦力を加えた残り2ヶ月のレギュラーシーズン。ポストシーズン進出に向け熾烈な争いが予想されますが2016年以来となるプレーオフ&地区優勝を期待したいです。
以上です。